Demo 1996(1996)
/ Band of POP

「タッチョ」こと北川宏とは、グレリチに加入する前に「太陽」というバンドをやっていた。

このバンドの曲をなぜか1曲も思い出せないのだが
たしか手書きで「太陽」と書かれたカセットテープを
どこかで見かけた気がするのでそのうち探してみよう(…と備忘録的に書いておく)。
とにかく、グレリチに加入するコトになってこのバンドからは抜け
しばらく連絡も取らず不義理…というより日々精進に勤み
過去を振り返る余裕はなかったのだろう。

その後、もろもろの事情でグレリチを脱退し
引越し資金を稼ぐためにバイトに明け暮れ
ついに吉祥寺の僻地のアパートから1階にギター屋のある駅前のルーフバルコニー付きのマンションに引っ越した。

そんなカンジで暮らしていたある休日の午後
タッチョからの電話が鳴った。


「吉祥寺のスタジオで今日これからリハなんだけど、ギターの山くんが来れなくなったからがっくん弾きに来ん?もし来てくれたらすげー助かるんじゃけど」


「んー…わかったー…行くわー」


グレリチを抜けてから約一年、ほぼ触ってもいなかったギター。
とてつもないブランクを感じたのだがなぜか足を運ぶ気になり
ひさびさ1〜2時間プレイしただけなのに
終えると左腕の筋肉がガチガチに硬直していたのを覚えている。

予想通りプレイはガタガタで要リハビリな次第…
このリハで、ベースの寺ちゃんとドラムのサッシーと出会う。

リハが終わってロビーで話してるうちに
ギターの山くんが来れないっていうのは口実で
どうやらオレをバンドに誘う腹だったらしく
グレリチ脱退前後のココロの傷も癒えかけていたオレは
つい…その話に乗ってしまった。

これがタッチョとの再会…からのバンド人生再始動の幕開けであった。

バンドもメンツもすべて初めての組み合わせで
曲作りもゼロから始めるコトができるこのタイミングにワクワクした。

しかし後日、曲ネタとして渡されたカセットテープは
全曲タッチョによるフォークギターの弾き語りだったのには愕然としたが
それにもメゲずコードや構成を分解し、リフに乗せて再構築しながら最初に出来上がっていったのがこの4曲だ。

聴けばすぐわかるコトだが、完成度うんぬんは別にして
90年代中盤に差し掛かるこの時代に産まれてきた
新しい音楽やファッション 文化や意識
無数の要素を貪欲に吸収し 共有しながら
感じ合い 伝えるナニかを探していた時期。

同じ時代を共に生きるコトができた奇跡。
All Songs Sound Produced and Arranged by Band of POP

“Band of POP” are
Hiroshi Kitagawa : Vocal
Gaku Nishizaki : Gutar
Akinao Teraoka : Bass
Makoto Sasayama : Drums

Engineered and Mixed by Hideki Itoh
Recorded at ANTIKNOCK SHIMOKITAZAWA